寄り添う、ふたり

私は中高一貫の男子校に通っていた。
帰宅部で、放課後はゲームばかり。友人も少なく、女の子の友達などいなかった。

今思えば、大学時代からすでに「うつ」だったのだと思う。
父は精神疾患で仕事に行けず、家の中は常に重苦しかった。
家に帰ると酒乱の父が待っている。けれど帰らなければ、母が暴力を振るわれてしまう。
そんな毎日のなかで、私は「青春」を楽しむ余裕など持てなかった。

そんなとき、同じクラスで、同じサークルの親友ができた。
彼女とは一日中一緒にいた。彼女といる時間が、私の癒しだった。
重く沈んだ世界のなかで、彼女だけが光のような存在だった。

寄り添えば、温かい。
私は彼女に、マリアのような温かさを感じていた。

けれど彼女は、愛よりも自己実現を選び、卒業後、私たちは離れ離れになった。
それでも、絆は失われなかった。

病気のせいで、私はほとんどの友人を失った。
あるいは、自分から逃げるように人間関係を清算してしまった。
けれど、彼女だけは違った。

仕事を失った今でも、時折「元気?」と連絡をくれる。
そんな彼女も、今では二児の母だ。

支え、支えられ、私たちは生きている。

寄り添えば、温かい。
それは今も、確かにここにある。

この作品は、そんな「寄り添うことの温度」を形にしたかった。
言葉ではなく、理屈でもなく、ただ、そっと並んで座ること。
何も言わなくても、そこにいること。

そんな関係が、人生を生かしてくれることがある。
私はそれを、この作品に託した。

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