
この作品の舟は、暗い夜の海に浮かんでいる。
静かだが、決して穏やかではない。
私はこの舟に、自分自身を重ねている――。
私は、大学院のころ、すでに病気を発症していた。そして、研究室へ通うことさえも難しい時間が流れた。狙っていた公務員試験にも落ちた。就職浪人が決まろうとしているころ、たまたまゼミの教授の紹介で職を得ることができた。しかし、先輩から話を伺うに企業研究者の道は甘くないと知っていた。それが初めての心細い船出だった。
時は流れ、病気のために何度も転職をした。私はそのたびに、暗い水平線へと漕ぎ出さざるを得なかった。
いまも、そうだ。
会社員であれば、給与が出る。固定給が入らないフリーランスの身はとても不安定で辛いものだ。しかし、一方で自分のペースで仕事ができるというメリットもある。私はいまも病気の波に翻弄されている。そのような身の者にとって今の働き方はあっている。
私は毎日祈っている。
病気の波が治まりますように、新しい航海が成功しますように、と。
———
そして、もしこの文章を読んでいるあなたが、いま暗い海に浮かんでいるのなら。
あなたの舟は、決して止まってはいない。
たとえゆっくりでも、たとえ漂っているように見えても、あなたはここまで来た。
どうか空を見上げてほしい。
月でも、星でも、小さな光でいい。
その光が、あなたの航路を静かに照らしてくれることを、私は祈っている。

