希みの砂時計

祈り

20年以上の長いあいだ、私の目の前にはいつも
不安と、葛藤と、孤独があった。

病気が軽くなり、働けるようになったと思うと、
すぐに次の症状がやってくる。
結局、ひとつの会社に長く勤めることはできなかった。

仕事をするために、土日は眠って回復にあてる。
気づけば、プライベートと呼べるものはほとんどなく、
ただ生き延びるためだけの日々が続いていた。

けれど、人生の折り返し地点を過ぎ、
ふと振り返ってみると、そこには暗い記憶だけではなく、
新商品を開発したことや、
テーマ提案会でベストプレゼン賞をいただいたことなど、
確かに「よかった」と言える瞬間も残っていた。

人はどうしても、悪い出来事ばかりに目を向けてしまう。
でも、本当にそれだけだったのだろうか。

私は40代になり、会社を離れ、フリーランスになった。
一見すると、すべてを失ったようにも見える。

けれど今の私は、
「自分の進む道を、自分で選んでいる」
そう感じながら生きている。

不安や孤独、葛藤は消えるものではない。
けれど、それらは心の中で、そっと“ろ過”することができる。

どれだけ多くのろ過装置を持っているか。
それが、幸せを「幸せだ」と気づける人と、
そうでない人の違いなのかもしれない。

そのろ過装置は、誰かが与えてくれるものではない。
私たち自身の心の中にあって、
その場所を知っているのは――あなただけだ。

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