
病気を抱える者として、特に夜は不安と孤独に苛まれる。
昼間はなんとかやり過ごせても、夜になると、思考は内側に沈み、過去や不安、取り戻せない時間や、まだ見えない未来が一気に押し寄せてくる。静けさの中で、かえって心は騒がしくなる。
それでも、ひとりじゃない。
この作品の中で、波が近づいても、ふたりは避けない。
荒ぶる波は、現実の厳しさや不確かさそのものだ。思い通りにならない体調、先の見えない人生、社会との距離感。そうしたものが、波のように、何度も足元を洗う。
けれど、ふたりは動かない。逃げない。抗わない。
それは諦めではなく、受け止めるという選択だ。
不安を消そうとするのではなく、不安と共に立つという姿だ。
表情はシルエットで見えない。だからこそ、このふたりは、見る人自身でもある。
不安を抱えながら、それでも前を向こうとする、今の私たちの姿だ。
ふたりは確かに、明日に向かっている。
そのふたりを、月が静かに照らしている。
月は、勝利や達成を祝う光ではない。
見守り、承認し、回復を促す光だ。
「それでいい」「ここまで来た」「ちゃんと生きている」
そう語りかけるような、優しい光だ。
もし、今日一日、何もできなかったとしても。
もし、落ち込んで、立ち止まってしまったとしても。
それでも、ふたりは負けていない。
生きていること自体が、もう十分すぎるほどの営みだからだ。
この作品には、そんなメッセージを込めた。
もし、この作品を見た人が、今夜、苦しみの中にいたとしても。
もし、誰にも言えない孤独を抱えていたとしても。
あなたはひとりじゃない。
私と、私の作品は、あなたの闇をきっと照らしていく。
小さくても、確かに、あなたの足元を照らす光として。
